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​予想を裏切られた

Brass United

2017年3月8日(水)18:45開演 宗次

コンサートホール

 (S.フェルヘルスト編):プルチネラ組曲 2より

 I.アルベニス(ラベリ編):スペイン組曲より

 ヤコブTV(S.フェルヘルスト編):ピッチ・ブラック

  ー休憩ー

 (S.フェルヘルスト編):プルチネラ組曲 2より

 B.バルトーク(ラベリ編):ルーマニア民俗舞曲

 ツィンツァーゼ(S.フェルヘルスト編):ジョージアン・ダンス

 高嶋圭子:スクエア・ダンス

 A.ピアソラ(S.フェルヘルスト編):ブエノスアイレスのマリア

 アンコール:情熱大陸

上手い!予想外に私好みのクリアで金管の”マス”を感じる音を堪能できていきなり驚きでした。ロイヤル・コンセルトヘボウ管の金管はもう少し全体に太くない(細いわけではないけれど)印象があったのですが、良い意味で裏切られました。座席は最前列の中央(このところソロや小編成のアンサンブルはとにかく前で聴こうとしています)。しかも隣にA嬢という奇跡。極上の2時間でした。

 並びは下手からTpハッセルト氏,Hrワール氏,Tbaラベリ氏,Tbライエン氏,Tpバディ氏で、コンサートを通じて並びは変わらず。ここに、曲によって打楽器ワン氏が加わります。Tpは上と下を曲によって交代、またそもそもどっちが上,下の区別のない編曲の楽譜もあったようです。そしてtpは2人ともメインはC管でピッコロとフリューゲルを持ち替えていました。楽器に(も)疎い私はメーカーなど判別できませんでしたが、ハッセルト氏のメインの楽器はベル短くて元N響の関山先生が使っていた楽器みたいな感じです。ロビーでそれっぽい(笑)人たちの「あれはスペインの楽器かな?」という会話が聞えてきました。

 さて肝心の演奏、まずバロック調のオーソドックスな金管アンサンブルからスタート。プルチネラ組曲とありますがストラビンスキーとは関係ありませんでした。プルチネラとはイタリア語で道化師の意味だそうです。とにかく昔のアメリカンブラスクインテット(私の中の最上級)を彷彿させる黄金の響きで、もしアメリカンブラスクインテットがバストロンボーンでなくチューバだったら、こうだったのでは、と変な感想を持ちました(笑)。続いてメンバーのラベリ氏編曲によるアルベニス。なかなかテクニカルな編曲でこれまた安定したアクロバットな演奏が楽しめました。そしてピッチブラック。V.ディーゼル主演映画とは関係なくて、もともとはSax4重奏。テープの再生に合わせて演奏するのですが、なんとチェットベイカーの声をサンプリングして使っているとのこと。とすると、最後に流れるトランペットの音はチェットベイカーか。知ったかして「なんかクリフォード・ブラウンみたいな」なんてA嬢に言わなくてよかった。

 休憩をはさんで後半もプルチネラ組曲より数曲、端正な金管アンサンブルの後、今度はバルトークのルーマニア。これも技巧的に大変そうですが、どのパートも粒立ちくっきりで気持ちよく聞けました。そのあともジョージアン・ダンス,スクエア・ダンス(日本人作曲家の新作とのこと)とそれぞれ雰囲気の違う”ダンス音楽”が続き、最後はピアソラ。ブエノスアイレスのマリアという曲自体はなじみのないものでしたが、最後までどの楽器も鳴りきっていて満足な締めくくりでした。バテとかスタミナとかの文字は彼らには無いようです。

 カーテンコールの後、アンコール。ここで唯一ちょっとしたパフォーマンスがあり、打楽器のワン氏だけがやる気になるがメンバーはステージから退散していってしまう、というなかで、カホンを叩きながらTbaラベリ氏を引き留める。仕方ないと言ったしぐさでTbaもリズムを刻み始め、それに合わせてTbライエン氏が袖から出てきてTba氏の名前を紹介しながらリズムに加わる、次はHrが、というように順番に前に出たメンバーの紹介をしながら加わって、全員揃ったところでメロディーがはじまる、というものでした。客の手拍子も誘い、会場全体で盛り上がって終演。質の高い演奏と合わせてプログラム構成も良くできていて、とても満足度の高いコンサートでした。

 恒例のサイン会に参加し、持参した色紙にお願いすると、各人が楽器のイラストを加えてくれました。更にハッセルト氏のソロアルバムも持参したので、こっそりこちらにもサインしてもらいました。(実はトロンボーンのライエン氏も参加していた)

 いやー、本当に素晴らしい金管アンサンブルでした。

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