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今野 敏

疑心 隠蔽捜査3 ★★★★★ 20130919
竜崎シリーズ第3弾。クイーン風にいえば「竜崎警視長自身の事件」か。いやちょっと違うな。何しろ補佐に付いた美人キャリアの存在が、我が竜崎警視長を惑わせるのですから、落しどころが気になるのは当然!
登場人物もキャラが定着し、物語に奥行きが出てきて更に面白くなってきましたが、マンネリの危険も。と思ったら、次は「隠蔽捜査3.5」とスピンオフが出ました。さすが今野先生!

 

天網 TOKAGE2特殊遊撃捜査隊 ★★★★ 20130725
 トカゲシリーズ第2弾。事件としては面白いのですが、肝心のTOKAGEらしさが出ていないように思います。覆面捜査チームなのに、その特性を生かしたシーンがとても少ないし、ヒロインの活躍も全然ありません。
 小説としては○と思いますが、TOKAGEである必要はありませんね。この続編はもう出ないような気がします。・・・出たら読みますが(笑)。

潜入捜査  ★★★★ 20130613
 20年以上前の作品で原題が「聖王獣拳伝」。改題して復刻出版したものとのこと。あとがきで筆者自ら小説として未熟とか詰め込みすぎとか、“すごい題名だ”とか書かれているのに概ね同意です(笑)。
 全体のストーリーは悪くないのですが、せっかくの面白い人間関係の描写にもっとページを割くか、思い切って多少切り捨てて、一部分をもっと深く描けばシリーズ物としても面白くなりそうな感じがしました。

同期 ★★★ 20130604

 映像化され続編も刊行されたので、面白くないわけがないと期待が大きかったせいか、物足りない感じがしました。そしてちょっと作りすぎと思います。もう少しリアルな描写で迫って欲しかった。でも、大筋でストーリーは面白く、十分楽しめました。

 「予測不能!怒涛の展開」確かに予測は難しいですが、描写が薄いせいな気がします。

 

殺人ライセンス ★★★ 20130521

 オンラインゲームを題材に書かれた作品。10年も前に上梓されたものなので、さすがに現在とは状況が違いますが、違和感は少ないです。しかしそのwebの世界に重きを置いたため、推理小説としてはちょっと中途半端な感じがしました。

殺人ゲームのディテールにもう少しこだわりが欲しかったと思います。そうすれば推理も生きてくるかと。

 

特殊防諜班 最終特命 ★★★ 20130515

 シリーズ完結編。しかし、300ページほどで完結させなければならないので、心配したとおりやや薄い結末が。

ある程度長尺な物語になった場合、意外な仕掛けとか主要人物の深い心理描写とかがないと、どうしてもあっけない感じがしてしまいます。大団円的な終わり方は好きなんですけどね。

 

特殊防諜班 聖域炎上 ★★★ 20130515

 新人類戦線もいよいよ佳境。題名「聖域炎上」に、芳賀舎念の住む山か、あるいは新人類委員会の本山が決戦の舞台になるのでは、と予想しましたが、あたりでした。でも本作はなんといっても“ハリアー”の描写でしょう。作者の造詣の深さが物語りに厚みを与えるとはこういうことですね。

あと1冊で終わりの割には、ちょっと世界の広がり方が物足りない気が、、、

 

特殊防諜班 諜報潜入 ★★★★ 20130511

 新人類戦線も後半に突入。本作から好敵手として夢妙斎2代目が登場。今野先生得意の格闘技対決シーンのワクワク感が高まります。

 しかし、5冊目になってややマンネリを感じるのも事実。てこ入れとして登場した2代目夢妙斎との対決も、本巻ではまだセーブされているので、次巻以降に期待というところ。

 

闘神伝説 IV ★★★ 20130428

 ちょっと尻すぼみな感じが。風呂敷を大きく広げ、物語としてはちゃんと結末を迎えますが、どうしてもあっけなさを感じます。せっかくアトラ・ハシースという組織をここまで構築したのに。しかし、タケルの力が浸透したという理由付けはギリギリ受け入れられるかな。

 ページ数を10倍にして、タケル対組織をもっとリアルに描いて欲しかった、という感じです。各々のシーンはわくわくすることも多かっただけに。

 

闘神伝説 III ★★★★ 20130429

 アトラ・ハシースの追ってとの本格的対戦、かと思いきや銃で撃たれるという“意外な”展開。そしてサブキャラクタの1人が退場。さて収拾がつかなくなってきたか。

 なにしろ250ページほどしかないのですぐ読み終わってしまいます。であと1冊。本当に終われるのか(笑)

 

闘神伝説 II ★★★★ 20130428

 Iを読んでしばらくそのままでしたが、全4作を読むことにしました。主人公タケルの超人的な強さの描写はそれだけでわくわくします。そしてヤクザの親分のボディーガード。期待されるシーンがたくさん思い浮かびますね。

 日本の神道やギルガメッシュ叙事詩など、なかなかスケールの大きな展開になっています。暗殺集団アトラ・ハシースも組織がしっかり構築されている感じで先が楽しみです。

 

凍土の密約 ★★★★★ 20130410

 公安捜査官倉島シリーズ第3弾。殺し屋が登場、情報戦、とシリーズのお約束を守りながら、飽きさせずに読ませてくれます。約350ページと大して長くないのですが、読み応えもありました。ただし、主人公が拉致されながら助かってしまうところはもう一工夫欲しかったかな、と思いました。

本作ではヴィクトルが登場しないのが残念です。後半でひょっとしたらここで、というシークエンスもあるのですが、結局実際に登場することはありませんでした。第4弾はあるのかな?

 

心霊特捜 ★★ 201302016

 残念ながらあまり面白くなかったです。超常現象に立ち向かう超能力バスター、というような期待をしましたが、いろいろな意味でちょっと中途半端でした。もう少し大きな流れも欲しかったように思います。

 もちろん小説としてダメなわけではないのですが、私には合わなかったようです。

 

時空の巫女 ★★ 20121022

 スケールの大きなSF作品。でも、200ページそこそこでは、世界観の構築ができる前に終わってしまいます。特にアイドル・プロデューサーの周辺事情を少し生々しく描写するだけで、相当な紙幅が費やされるため、全体のリアリティがそこそこになってしまった感があります。

 せっかく人類滅亡という大きなテーマを掲げるなら、やはりもっと長尺にしてしっかり書き込んで欲しいと思いました。今野先生なら間違いなくもっと面白くなるでしょう。

 

レッド ★★★ 20120910

放射能が検出された沼。環境庁と自衛隊の出向者が調査。政治家による隠蔽。10年以上前に書かれた小説で、シチュエーションは違いますが、まるで今書かれたような“怖い”話です。

ただし、アメリカ軍の特殊部隊相手にここまで見事に戦っては、いくらなんでもと。。。

百夜街道 ★★★★ 20120919

 なんとなく聞いたことがある名前が出てくると思ったら、「曙光の街」の続編でした。スパイ大作戦みたいでスリリングです。主人公に特殊能力があるわけではないのですが、それでも魅力的。

 こういう続編は大歓迎ですね。人物像もある程度できているし、物語に入りやすい。そして終わり方も○。

 

逆風の街 ★★★★ 20120831

 比較的“普通”のハードボイルド。暴力団に潜入していた捜査官が殺される。その敵討ちということで、ストーリーに特にひねりはありませんが、その分そのまま読み進めます。

 やや残虐なシーンが何箇所かありますが、全体的にはアクションも推理もあってバランスよく、読みやすいと思います。

 

凶星降臨 ★★★ 20120804

 特殊防諜班シリーズ。「新人類委員会」の首領が登場、、、って前作まで出ていたのは首領じゃなかったのか???そして今回の相手は日本人の過激派チーム。

残念ながら、特殊能力を駆使した戦闘シーンがいまひとつ。せっかくヒロインの能力とあわせて、もっと面白い展開が期待できそうな舞台をつくりながら。ちょっともったいない感じです。次回作に期待。

 

闇の争覇 ★★★ 20120629

 全くの偶然で、「38口径の告発」の続編でした。まずはそのことに驚き(笑)。本作は格闘家がストーリーに深くかかわってきますので、おなじみの格闘シーンはさすがの描写です。実際には先生の作品おなかではむしろ初期の方なんでしょうけど。しかし、ストーリーとしてはもうひとつだったかな。

 それにしても、今野先生の作品は改題されて文庫や新書の題名が異なるものが多いので、けっこう困ります。ちなみに本作は「大虎の拳」の改題。

 

38口径の告発 ★★★★ 20120624

 新宿を舞台に、中国人,ヤクザ,刑事が絡まりながらの事件に、医者である主人公が巻き込まれていく。ありがちなストーリーで、本作は今野先生得意の格闘技系の描写もないので、普通のハードボイルドという感じです。

 主人公周りの登場人物はなかなか魅力的で、とくに小学生の息子はなかなかいい味出してます。

 

渋谷署強行犯係 宿闘 ★★★ 20120522

 第3弾。本作はちょっと毛色がかわりますが、やっぱりやっていることは同じに感じてしまいます。せっかく面白くなりそうな“ナゾ”もひねりが内容に思えます。

 大きな流れとしても、わずかに進展があったと言いたいところですが、場はまるで変わっていません。今野先生もこのシリーズにはそれほど思い入れがないのか?これで終わり???ちょっと残念。主人公自体は良いキャラなのに。

 

渋谷署強行犯係 義闘 ★★★ 20120519

 『賊狩り 拳鬼伝2』の改題とのこと。シチュエーションは前作に似ていて、登場人物の立ち位置も同じなので、物語にすんなり入っていけます。特に整体師の主人公は前作と同じような行動をするだけで、赤間というサブキャラのおかげで前作と違う話になっただけ、という感じ。

 戦闘シーンは相変わらず本格的で読み応えがありますが、前作から話の進展がないのがツライ。

 

拳鬼伝 ★★★ 20120519

 渋谷署強行犯係の第1弾。拳法の免許皆伝という整体師が渋谷署の刑事と微妙な関係を保ちながら、事件に関与して、拳法の達人と対決。格闘シーンは本格的で、さすが今野作品ですが、全体のストーリーは今一つの感じです。しかしまあシリーズ第1弾だから。。。

 そもそも題名の「拳鬼」というのがどうも伝わってきません。拳法の達人と見えたあと、拳の“鬼”を思わせるストーリーが欲しいなー。

 

特殊防諜班 標的反撃 ★★★★ 20120515

 シリーズ第3弾。本作ではプロフェッショナルな殺し屋が登場。このプロフェショナルなところの描写がいいのです。それだけで読み応えがUP。

 ですが、やや息切れか?またXXは死んじゃうし。連続で読むと却って新鮮味が薄れてマイナスか?

 

特殊防諜班 組織報復 ★★★★ 20120512

 爆弾テロやチベット仏教の高僧など、雰囲気をもり立てるキーワードがワクワクさせてくれます。さらには主人公真田の出自が一部あかされるなど、シリーズならではの演出もあって、

 しかし、前作のようなテロの専門家が専門家たる高度な動きをする等の描写が少なく、その点では少し物足りなかったかな。

 

特殊防諜班 連続誘拐 ★★★★ 20120510

 題名からして、安積班ものみたいな警察シリーズかと思ったら、『新人類戦線“失われた十支族”禁断の系譜』の改題。なんとそそる題名でしょうか(笑)。これはそのシリーズの第1弾。登場人物の立ち位置を決める大切な1作目ですね。

今後の活躍や動向にワクワクさせられる登場人物が何人もでてきます。まだ序章のはず。今後が楽しみ。

 

任侠学園 ★★★★ 20120503

 もうコメディーそのものです。ちょっと寄りすぎで、もう少し本職の凄みがつたわるシーンがあってもよかったと思います。でも、小説として読むには十分面白く、それなりに楽しめます。決して後味も悪くありません。

前フリの痴呆老人的な描写、何か意味があるのでは、と思いながら読み進みましたが、何もなかった。。。なぜ今野先生がこのような作品を?

 

迎撃 ★★★★ 20120430

 ジャーナリストと傭兵の話。思わせぶりな教訓や戦争・紛争にまつわる啓蒙などは目に付かず、アクション小説として面白く読めます。

 200ページ強という紙幅のため、結局のところミッションは1つしかないのですが、せっかくなら、構築したこの舞台を使ってもっと話を展開させても良いのでは、と思いました。続編、、、なさそうですが。

 

半夏生 ★★★★ 20120427

 というわけで、東京湾臨海署安曇班。ベイエリア分署から神南署をはさんで再び東京湾臨海所にもどってきたあとの話。パンデミックが題材のかなりおおがかりなスケールの話で、これまた面白い。

しかし、時系列が良くわからなくなってきてしまったので、一度wikiを参照して整理しなければ。。。(笑)

 

二重標的ダブルターゲット ★★★★ 20120425

 東京湾臨海署、通称ベイエリア分署シリーズ第1弾。300ページ弱の中篇ですが、推理劇として破綻なくまとまっていて、安心して読めました。安曇警部補も後の作品で読むより人物像が大まかでまだ固まってない感じが、逆に新鮮でした。

 なにしろこれが第1作。すでに何作か読んでしまっていて、執筆順には読めませんが、このシリーズも、もっと読みたいと思います。

 

最後の封印 ★★★ 20120410

 面白くないわけではないけれど、荒唐無稽な内容をリアルに読ませるには、もう少しディテールにこだわりが欲しかったと感じました。結末は大団円的で、読後の感触も悪くないですが。

 これが別の作家の作品だったら、もっと★が増えたかもしれませんが、今野先生には期待が大きいせいで、辛くなるみたいです(笑)。

 

神南署安積班 ★★★★★ 20120218

 実は安積班シリーズの読む順番に迷って、何を思ったか、ベイエリア編でなく、第2部のラストから読み始めてしまいました。これがまた直球あり変化球ありで、しかもインターミッションをはさんで趣向を変えるという退屈せず短編が読み続けられるようになっています。

 今野先生の警察小説は、本当にどれもそれぞれ魅力があって面白い。そのうち安積シリーズもすべて読破したくなる、、、ような気がします。

 

スクープ ★★★★ 20120209

 主人公の仕事は報道番組の取材。ややありがちな穂なしの展開で、7編の連作ですが、各々に直接つながっていく大きなストーリーはなく、独立した話で構成されています。それなりに面白くて読みやすく、あっというまに読了。

 ひとつひとつの短編はどれもそれなりに面白いのですが、7作も続くともう少し変化球も混ぜたりしたほうがよかったのかな、と勝手なことを思いました。

 

憑物<祓師・鬼龍光一> ★★★★★ 20120201

 とりあえず陰陽の続編。ちょっと恩田作品の常野物語の雰囲気を感じます。前作に引き続き面白さは衰えず。登場人物が絞られるので、今回の親玉は意外性を狙ったものではないと思いますが、それにしてもせっかくならもう少しひねりが入るともっと面白くなったのに、と思いました。

 ただし、なんとなく一応の区切りみたいな終わり方で、この後も読みたい私はちょっと不安です(笑)。

 

陰陽<祓師・鬼龍光一> ★★★★★ 20120122

 警察小説と伝奇小説の合体。へんにひねってなくて読みやすいです。この手の話が超常現象の扱いが勝負と思いますが、これはo.k.でした。これなら続編も読みたい。

 と思ったらこの前身で、ずばり「鬼龍」という題名の作品があるそうな。こちらも読んでみたいです。

 

ビギナーズラック ★★★★ 20120109

 作者が20代の頃の作品も含め、全6編。短編としてはどれも面白いので、250ページ弱と薄くても読んだ気になれました。

 まだ今野ワールドのほんの一端しか読んでいませんが、色々なジャンルで期待感が高まります。

 

トカゲ ★★★★★ 20111210

 副題「特殊遊撃捜査隊」。誘拐事件に見え隠れするいくつかのストーリー。そして主人公たちのバイクチーム。設定とは裏腹に、進行は骨太です。

 メインの事件は割りと早い段階で、思いついた筋書きが、ほぼ当たっていました。でも、後味の良い作品でした。

 

闘神伝説 I ★★★★★ 20111201

 面白い!まさしくその戦闘シーンのディテールがイイです。まだ序の口の部分ですが、内に秘めたスゴイ能力がいつ発揮されるのか、また敵の力はどれほどか、。ワクワクしますねー。

2部作と思ってIとIIを購入しましたが、実は4部作。ということで、どこまでスケールが広がるか楽しみ。

 

ビート 警視庁強行犯係・樋口顕 ★★★★★★ 110815

 はっきりいって、話の筋は思ったとおりに進行していき、結末まで予想通り。これが本格の作品なら私の圧勝(笑)ですが、作者自身があとがきに記されたように、推理に重きをおいたものではないので、そんな自慢は無意味なのでした。

 そして、、、良かった!ここ数冊外れなしが続きましたが、その中でもこれは私にとっては大当たりでした。こんなふうに物語が着地してほしいです。しかしこのシリーズはこれで完結らしい。ああ残念。

 

朱夏 警視庁強行犯係・樋口顕 ★★★★★ 110812

 リオと異口同音。隠蔽捜査とは違った切り口ですが、同じ質の面白さを感じます。

今野先生のほかのシリーズも読みたくなってきました。

 

リオ 警視庁強行犯係・樋口顕 ★★★★★ 110810

 これまであまり主人公にならなかったタイプが主役のシリーズ(と思います)。でも面白い。読み手の気持ちが良くわかっていると思える展開で、読んだ後の満足感は高いです。

 事件自体はまさにありえないような筋書きで、しかも主人公だけが実は無罪の美少女を信じて捜査するという、書くとクサいのですが、描きこむポイントがこれまでのクサいのとは違っていて、面白く読み進むことができました。

 

逃げ切る ★★★★ 110727

 何も考えず、気軽に楽しめるサスペンス。スピード感もあり、適度などんでん返しもあり、深読み不要で満足でした。

 後半が一気に決着にたどり着く感じで、広げた風呂敷をもう少しひろげたまま終わっても良いか、と思いますが、約200ページはあっという間でした。

 

曙光の街 ★★★★★ 110614

 1級のハードボイルド。今野先生といえばSTシリーズが有名でなんとなく「科学特捜班」のイメージが強かったのですが、このような作風だったのですね。登場人物がどれも良いです。そしてこれ以上にない(私にしっくりくる)結末も良かった。

 400ページに満たないのに、ボリュームを感じました。この手の作品がもっと読みたくなります。

 

果断 隠蔽捜査2 ★★★★★ 110710

 すっかり竜崎ファンになってしまいました。佐々木壌先生とは一味違った警察もので、普通なら主人公の敵役になりそうな堅物エリート警察官が主人公。ですが、痛快で読み応えがあります。

 このシリーズはまだ続いていて、スピンオフ的なものまで出ているようですので、読むのが楽しみです。

 

隠蔽捜査 ★★★★★ 110701

 面白い!普通なら主人公に対比させて出てくる、ヤなタイプの堅物上司みたいな設定の“主人公”ですが、掘り下げ方が違うと、こんなに面白くなるのですね。

 脇を固める人物たちも魅力的で、主人公の家族など、よくそうやって書いてくれましたという感じ。これまで今野先生といえば、なんとなくSFを思い浮かべてしまいましたが、印象は大きく変わりました。

香納 諒一 

K・S・P 孤独なき地 ★★★★★ 20131013 以前に読んだ「毒のある街」の前日譚、なわけではなく、もともとこれがシリーズ1作目。これまた登場人物が独特で、新宿鮫やハンチョウとは別の荒々しい魅力が感じられます。 これを読んだ後で少し「毒-」を読み返しましたが、なるほど、順番どおりに読んだほうが面白さが増す、と思いました。

K・S・P 噛む犬 ★★★★★ 20131016 毎回題名も独特ですが、ストーリーも一筋縄ではありません。今回はヒロイン貴里子の先輩が白骨死体で見つかるところから物語スタート。もはや、半分は「不夜城」(馳先生のバイオレンスな新宿界を描いた小説)の世界になってます。 しかし、2作目の文庫の解説で「全10作」の予定とか、「主人公が壊れていくときに思い出す人物を本作に登場させた」などと意味深な発言があり、今後の展開が楽しみでもあり、不安でもあります。願わくば10巻目のラストがハッピーエンド出会って欲しい。

久坂部 洋 

無痛 ★★★★★ 20131008
ストロベリーナイトと脳男を足して2で割ったような感じです。そして医学的な描写に力が入っており、物語の奥行きを深くしています。主人公は超能力のような特異能力を持ち、事件の犯人と対峙。引き込まれる展開です。
600ページ超の長編で、一応の決着がつきますが、これは続編O.K.でしょう。ぜひ続きも読みたいです。

古処誠二

ルール ★★★★★ 20131019
 太平洋戦争末期の物語。ガダルカナルとかルソン島などの惨劇は、歴史の1ページとして表面的な知識しかありませんが、その人間模様に真っ向勝負。涙なしには読み終われませんでした。
 主人公と思しき人物がまだページを残して退場。読み間違いか、とページを戻して読み直してしまいました。ちゃんと良くわかるようにその少し前からはっきりと描写しているのですが、私の頭はそれを否定していました。改めて戦争の理不尽さを感じながら。

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