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秦 健日子
サマーレスキュー ~天空の診療所~ ★★★★★ 20130729
実に心温まる連作でした。骨子は実話に基づいていて、あとがきにはモデルとなった方のコメントもあります。小説はあくまで小説で事実とは異なるでしょうが、根底には北アルプスでの実態があるだけに迫力を感じます。
物語上大学運営となっている山の診療所は、実際には学生のサークル活動が母体で、そこに医師や看護師が参加する形だそうです。そこにもドラマがありそう、と思いました。
インシデント ★★★★★ 20121030
今旬のIPS細胞にまつわる推理小説。ショッキングな冒頭シーンで、救いのないエンディングを植えつけられながら読み進むことになりましたが、まさに意外な真相。読み終わって落ち着いて考えれば、“さやか”の気持ちについて、ちょっと後出しじゃんけんな感じもしますが。
最終章は本当に悲しい、予想以上につらい決増すですが、エピローグにかなり救われました。
殺してもいい命 ★★★★★ 20120612
やられました。とってつけた筋書きでなく、深い伏線もあって、見事に驚かされました(笑)。前2作を読んでから出ないと、それぞれの登場人物の背景が希薄になってしまうので、もったいないです。
映像の雪平シリーズはもはやめちゃくちゃですが、原作側は雪平ならではの面白さを保っています。既に4作目もでているので、続きが楽しみです。
アンフェアな月 ★★★★★ 2009.4.16
「推理小説」の小説版の正統派続編。以前いきなり映画だけ見て、原作とかけ離れていて驚きましたが、実はそのあと、TVシリーズもレンタルで全て見ました。なるほど、そういうことかと。
でもって、これは映画とはもはや別です。そして推理小説としては断然こちらの方が面白い。伏線と、複雑に絡み合い、解答が語られてもなお疑問が残り、それが最後に氷塊。まさに推理小説の醍醐味ですね。続きも読みたい!
推理小説 ★★★★ 2007.3.1
「事件を防ぐには小説の続きを落札すること」まさに現代の世相を反映した物語の構成で、主人公雪平という個性的で魅力あるキャラクタを上手く配して、ありきたりでない“推理小説”に仕上がってます。しかもアンフェアなのは誰か?の問いに本当の意味でイレギュラーな奇をてらったのではない答えが用意されているのも気に入りました。
TVシリーズとなり、映画化もされました。また小説もこのシリーズの続編が上梓されているようです。
馳星周
長恨歌 不夜城完結編 ★★★★★ 20130720
前2作を読んだ私には、冒頭から衝撃的なシーンでした。ものすごく入り組んだストーリーですが、全2作同様、表面どおりには進まないのがお約束なので、何となく展開が読めました。
劉健一にとっては、これしかない結末ですが、やはり悲しい。けっこうファンだったのですが。。。
誉田 哲也
インビジブルレイン ★★★★★ 20130623
姫川シリーズの長編。シリーズ中もっとも切なく熱いラストと紹介されているように、大きな変化を伴う結末が待っていました。そして気になるのがわざとぼかしてある描写。次回作までお預けということでしょう。早く読みたい。
映画のほうを先に見ました。もちろん大筋で同じなのですが、一部はむしろ映画の方が大胆かつ過激で驚きました。そしてストーリー上けっこう重大と思われるような事柄も異なる描写に変更されていましたが、後々原作との齟齬が問題にならないかちょっと心配です。まあ、私が心配しても仕方がないですが(笑)。
ヒトリシズカ ★★★★★ 20130417
最初は超常現象のミステリーかと思いました。なにしろ打たれた弾丸が体内で1度止まってから再び動いた形跡があると。しかしもっと恐ろしい話でした。第3章まで読んでやっと構造が理解できました。すごい。
久しぶりに大いに涙腺が刺激されました。
国境事変 ★★★★★ 20120726
警察小説。刑事と公安がぶつかりながら、大きな事件の核へ集約されていく。やや悲しさの勝つ終わり方ですが、物語の進行上仕方がないところでしょう。
「外字警察」という映画を見てから、ちょっと“公安”に関する描写を見る目が変わりましたが、そのせいか、新鮮なところもありました。
シンメトリー ★★★★★ 20120115
TVシリーズ化された姫川ものの第3弾。最初の衝撃は薄れましたが、すでにこの人物設定による世界観に入ってしまっているので、面白く読めました。
ありそうであまりなかった姫川というキャラクターが良いです。7本の短編集ですが、どれもgood。特に「右では殴らない」のオチは良いなー。
私が春を嫌いになった理由 ★★★★★ 20111225
霊能者にTV特番と、私の好奇心をそそるジャンル。でもって、かなり良質な骨組みになっています。もちろん現実に霊能力が存在するかどうかは関係なし。
マルチストーリーが途中でつながって、1つの物語と化すのは、もはやめずらしい手法ではありませんが、なかなか見事な合流と思います。注意深く読めば“わかる”のも良い。
武士道シックステーン ★★★★★★ 20111125
これです。これ。自分自身か、身近に剣道をやってる人がいればかなり面白く読めると思います。あー、面白かった。ドラマ化されたらしいですが、そちらは未視聴。
多感な2人女子中学生の物語というわけですが、どちらも魅力ある人物に仕上がっていて、小説ならではの誠に良いストーリー運びで1日で読了。読み終わった後、コミカライズを見つけてつい購入。しかしこちらは、、、。次はレンタルdvdか?
妖の華 ★★★★ 110814
このてのジャンルは大好きで、夏休みだったので一晩で読了。解説では「ウルフ・ガイ」シリーズを引き合いに出していますが、徳田正弘先生のコミック「不老不死伝説・バンパイア」がより近いと思います。
しかしとにかくオチが残念。現在の私にはこれは受け入れ不能です。終章だけ書き直したアナザーバージョンを出してほしいところ。
月光 ★★★★ 110524
これまた重い話でした。残酷で、小説だと分かっていても登場人物のつらさが胸につきささってくるようでした。途中で読むのをやめようかとも思ったくらいに。(もちろんつまらないから、という意味ではなく)
実際にはあっという間に読んでしまったわけですが、これは、ページを1.5倍にして、悪役で終わる香山とその姉の側も深く描いて、人間模様を完結させてほしかったと思います。もうひとつ人が死なないほうがもっといいけど、それでは違う話になってしまうか。
ジウIII ★★★ 110518
あっという間に3冊読了、という感じでしたが、さすがにこの展開は厳しい。確かに副題の<新世界秩序>にふさわしいといえばそうですが、やはり荒唐無稽もここまでくると、ちょっと受け入れがたいです。
これまでの2冊がこのお膳立てかと思うと、もう少し本当にできそうなことにしてほしかった。総理大臣拉致はともかく、町ひとつを占拠するにはいくらなんでもこのやり方では無理があるでしょう。返すがえすも残念。決して駄作とは思いませんが、Iを読んでいるときには、どこまでいくのか大いに期待を膨らませただけに。
ジウII ★★★★★ 110516
面白い。予想のつかない展開に、手に汗握る、という感じです。しかし本当にすごいことになってきました。
思想犯なんだから公安、というのは超越した感じです。さてどこまで行くのか。
ジウI ★★★★ 110514
こんな話だったとは。予想をおおきく外しましたが、面白かったことに変わりなし。タイプの違う2人のヒロインが平行して、あるいは交錯しながら話が進んでいきます。
裏表紙には「新・警察小説」と紹介されていますが、ちょっと違う気がする。いずれにしてもIIIが完結編らしいので、続きも読もうと思います。
ソウルケイジ ★★★★★ 110428
姫川シリーズ第2弾。前作のようなどんでん返しはなく、推理小説としては、ほぼ私の勝ち(笑)。早い段階でおよその筋書きは見通せました。でも、既に描きこまれたキャラクタなので、読み応えはありました。
話を盛り上げるために、恋愛に関する描写も必要なのかもしれませんが、私としてはもっと警察小説としての面白さに傾倒していってほしいです。佐々木譲先生の女主人公版みたいな。
疾風ガール ★★★★ 110424
何よりバンドに関する造詣が深いと思ったら、作者はバンド経験ありだったのですね。青春小説とありますが、推理の楽しみもあります。しかしながら、そもそも自殺の動機が納得できないなー。きっとそうだろうとは思っても。
含みのあるエンディングですが、それもそのはず、続編あり。いつか手に取ってみよう。
ストロベリーナイト ★★★★★ 2010.10.12
つぼに“はまった”ようで、とても面白かったです。「ストロベリーナイト」の意味は言葉と違って、恐ろしいほど残酷でしたが。
主人公と周辺の主要人物が、実にうまく設定されていて、話が面白く展開しそうな配置になっています。こういうシリーズものは歓迎です。先が楽しみ。